「半導体 転職 エージェント おすすめ」で検索して、何本か読み比べてみたけれど——結局どこも同じ会社が並んでいて、決められませんでしたか。
私もそうでした。どの記事にも「求人1万件以上」「非公開求人8割」「満足度No.1」と書いてある。でもそれは登録する前の話です。
知りたいのは、そこではありません。登録したあと、実際にどうなるのか。連絡はいつ来るのか。面談で何を聞かれるのか。届く求人は的外れじゃないのか。
そこが書かれていない理由は、はっきりしています。紹介記事を書いている人の多くが、そのサービスを使っていないからです。
そこで、現役の半導体プロセスエンジニアである私が、3社に同時に登録して、1か月並走させました。面談は合計4回受けています。
結論から書きます。3社でいちばん違ったのは、求人の数でも担当者の熱意でもなく「誰が求人を選んでいるか」でした。
この記事では、登録日から求人が届くまでを、日付と数字つきでそのまま書きます。返信が来なかったことも、メールが多すぎて配信を解除したことも書きます。
読み終えるころには、自分が最初に登録すべき1社を選べます。ぜひ最後までご覧ください。
この記事でわかること
- 3社に同時登録して、実際に何が違ったのか(比較表)
- 登録から初回連絡まで、何日かかったか
- 面談に6人出てきた会社があった理由
- 届いた求人が9件・59件・2766件に分かれた理由
- 半導体の工程の話は、どこまで通じたのか
- 1社だけ、最初の質問メールに返信が来なかった話
結論:先に4つだけ
長い記事になるので、答えを先に置いておきます。
この記事の結論
- いちばんの違いは「求人を誰が選ぶか」。自分で探す型と、絞って届く型がある
- 登録の手軽さと、面談の重さは反比例する。登録3分の会社は、面談が1時間だった
- 工程の話が通じるかどうかは、こちらから振るより「相手が何を言うか」で分かる
- 2社が「転職しなくてもいい」と言った。エージェントにも中立さはある
最後の4つ目が、いちばん意外でした。順番に書いていきます。
なぜ3社に、同時に登録したのか
先に、私の立場をはっきりさせておきます。
私はいま、すぐに転職するつもりはありません。そのことは、3社すべての面談で最初に伝えました。
それでも登録したのは、この記事を書くためです。
「半導体に強い」と謳っているエージェントが、本当に半導体を分かっているのか。これは、業界の外から入ろうとしている人には判定できません。技術の話が通じているかどうかを、確かめる手段がないからです。
でも、中にいる人間なら分かります。だからやってみました。
そして、1社ずつ順番に受けると条件が変わってしまうので、3社に同時に登録して並走させました。同じ時期に、同じ経歴を出して、同じ質問をする。そうしないと比べられません。
まず、比較表から
登録したのは、マイナビ転職メーカーエージェント、メイテックネクスト、JACリクルートメントの3社です。以下、表では「マイナビ」「メイテックネクスト」「JAC」と略します。
1か月やってみて分かったことを、先に表にまとめます。ここがこの記事の中心です。
| マイナビ | メイテックネクスト | JAC | |
|---|---|---|---|
| 登録にかかった時間 | 20分 | 3分 | 5〜10分 |
| 登録で聞かれたこと | 学歴・卒業年月・勤務期間・電話番号・年収 | 生年月日と、いまの仕事だけ | 上記+希望勤務地をチェックで選ぶ |
| 面談前の記入 | なし | なし | あり(希望の順位付け/年収の内訳) |
| 面談日程の決め方 | 担当者から候補が届く | 担当者から5日ぶんの候補 | 自分で希望日を入力 |
| 面談の受付時間 | 11〜20時開始 | 12〜20時開始 | 朝8時半〜22時開始(22時台は電話) |
| 面談の長さ | 30分枠 | 1時間超 | 1時間超 |
| 面談に出てきた人数 | 1人 | 1人 | 6人 |
| 工程の言葉 | 話題に出なかった | 後半に相手から出た | 最初から相手から出た |
| 求人の渡され方 | 検索の軸を渡される(聞けば紹介) | 面談の翌日に、理由つきで届いた | 面談中にその場で4件 |
| 1か月後の求人数 | 2,766件(検索結果) | 9件(届いた数) | 59件(届いた数) |
| メールの量 | 多い(配信を解除した) | 少ない | 多い(全部が候補になった) |
| 質問メールへの返信 | 1通目は返信なし(催促で返信) | — | — |
| 土日の面談 | 候補に出ず | なし | なし |
この表の中で、どの紹介記事にも載っていない行が5つあります。面談に出てきた人数、求人の渡され方、1か月後の求人数、メールの量、質問への返信。
理由は単純で、登録して、面談を受けて、待ってみないと分からないことだからです。
登録は3分から20分。違ったのは「何を聞かれるか」
まず驚いたのが、登録のハードルの差でした。
メイテックネクストは3分で終わりました。入力したのは生年月日と、いまの仕事の情報だけ。学歴も大学名を書いただけで、学部も卒業年も聞かれません。
一方マイナビは20分かかりました。学歴、卒業年月、勤務期間、電話番号。そして年収。ここで手が止まりました。給与明細を探しに行く羽目になったからです。
JACは5〜10分。特徴的だったのは、希望勤務地をチェック項目で選ばせることでした。
そしてJACだけ、登録のあとに「宿題」が来ます。
JACだけ、面談前に書かされたもの
- 転職で重視することの、順位付け(年収・勤務地・職種などを並べ替える)
- 年収を「内訳」で記入(月給/残業手当/賞与/その他手当)
- 活動の温度感を選ぶ(まずは相談したい/積極的に活動したい)
正直、面倒でした。でも、この宿題があとで効いてきます。
というのも私は、マイナビの面談で勤務地の希望をうまく伝えられなかったからです。口頭だけだと、限られた時間の中で言いそびれます。先に書かせる形は、言いそびれを防ぐ仕組みになっている。
面談は30分・1時間・1時間。そして6人
面談の長さは、はっきり分かれました。
マイナビは30分枠でした。しかも私が15分遅刻したので、実質15分です。これは完全に私のミスですが、結果として「短い面談だと何が起きるか」を身をもって知ることになりました。
メイテックネクストとJACは、どちらも1時間を超えました。
JACの面談に、6人出てきた理由
JACの面談で驚いたのは、長さより人数でした。画面に出てきたのは、数えてみると6人です。
1時間で話した相手
なぜこうなるのか。JACは、求人を出している企業ごとに担当がついているからです。ある会社の求人を受けるなら、その会社を担当している方が説明に出てくる。
正直に言うと、1時間で6人は慌ただしかったです。でも仕組みが分かると納得しました。企業のことをいちばん知っている人が、その企業の求人を説明している。
30分では、足りませんでした
マイナビの面談を振り返ると、時間が短かったぶん、こちらの情報が伝わりきりませんでした。
遅刻した私が悪いのは大前提です。ただ、それを差し引いても30分という枠は短いと感じました。
短い面談だと、エージェント側もこちらのことが分かりません。そしてこちらも、相手がどんな人なのか分からないまま終わります。お互いに探り合ったまま次に進むことになる。
その結果が、あとで届く求人に出ました。
工程の話は、どこまで通じたのか
ここが、業界にいる人間にしかできない検証です。
私は面談で、自分が担当している工程の名前を、噛み砕かずにそのまま出してみました。「半導体に強い」が本当かどうかは、ここで分かるはずだと思ったからです。
| 反応 | |
|---|---|
| マイナビ | そもそも工程の話が最後まで出てこなかった |
| メイテックネクスト | こちらが振ったときは「広いですね」で流れた。でも後半、こちらが出していない専門用語が相手から出てきた |
| JAC | こちらが振る前に、向こうから工程の言葉が出た |
テストのやり方を、途中で変えました
最初は「こちらが専門用語を出して、相手が理解できるか見る」というつもりでした。でもこれは、あまりいいテストではありませんでした。
理由は2つあります。ひとつは、相手が知らなくても「なるほど」と流せてしまうこと。もうひとつは、エージェントは製造業全体を広くカバーする立場なので、ひとつの工程に詳しくないのは当たり前だということです。
そこで途中から、見る場所を変えました。
こちらの言葉に反応するのは、受け身でもできる。
でも自分から使う言葉は、知らないと出てこない。
この見方に変えたら、3社の差がはっきりしました。相手が自分から何を言うか。ここを見るのがいちばん正確です。
JACの担当者の中には、私の勤務先を担当している方がいました。社内でしか使わない役職の呼び方まで知っていて、正直、少し驚きました。それだけ業界の中に入り込んでいるということだと思います。
いちばん大きな違いは「求人を誰が選ぶか」でした
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
1か月経った時点で、3社の求人はこうなっていました。
| 件数 | それは何の数字か | |
|---|---|---|
| マイナビ | 2,766件 | 「半導体」で検索した結果の数 |
| メイテックネクスト | 9件 | 担当者が選んで私あてに送ってきた数 |
| JAC | 59件 | 同上 |
この3つの数字は、同じものを数えていません
マイナビの2,766件は検索結果で、メイテックネクストとJACの数字は私あてに届いた数です。
マイナビが不親切なのではありません。渡し方が違うだけです。
言い換えると、こうなります。
マイナビ「2,766件の中から、自分で探してください」
メイテックネクスト「9件に絞って、持ってきました」
JAC「59件、選んで送ります」
2,766件と表示されたとき、正直な感想は「そんなにあるのか。多すぎないか」でした。
選択肢が多いことは、良いことのはずです。でも自分で探す時間がない人には、多さがそのまま負担になります。
逆にメイテックネクストの9件は、少なすぎるように見えます。でもその9件は全部プロセス開発の求人で、職種のブレがゼロでした。しかも1件ずつに「なぜ勧めるか」のコメントが付いています。
「メールが多い」は、雑という意味ではありませんでした
もうひとつ、思い込みが崩れたことがあります。
マイナビもJACも、メールはかなり増えました。でも中身がまったく違いました。
マイナビから届く求人には、希望とずれたものが混ざっていました。半導体以外の業界も来ます。最終的に私は、メールが多すぎて配信を解除しました。
JACも数は多い。でもどれも候補になるものでした。面白いのは、私が書いた希望の外からも届くことです。「この経験なら、こちらも合うのでは」という提案が混ざっている。それが的外れではないので、素直に読めます。
同じ「多い」でも、受け取る側の気持ちはまるで違います。数ではなく、選び方の問題でした。
もうひとつ:求人は増え続けます
細かいことですが、書いておきます。
メイテックネクストは面談の翌日に8件届いて、半月後には9件になっていました。JACは面談から10日で57件、その4日後には59件です。
「一度届いて終わり」ではありませんでした。放っておいても増えていきます。
言いにくいことも、書いておきます
良いことばかり書いても参考にならないので、うまくいかなかったことを書きます。
1社は、最初の質問メールに返信が来ませんでした
マイナビの面談のあと、私は質問をメールで送りました。1通目には、返信が来ませんでした。
週をまたいでも来ない。正直、そのときは「相手も仕事だから、こちらのキャリアに親身になってくれるわけではないんだな」と感じました。
ただ、話には続きがあります。こちらから催促のメールを送ったら、返信が来ました。しかも、希望に沿った求人まで紹介してもらえました。
紹介されたのは7〜8社。的外れではありませんでした。
つまり「待っていても動かない。でも、聞けば動いてくれる」ということです。
私の側にも、原因がありました
公平に書いておきます。
マイナビの面談で私が勤務地の希望を伝えきれなかったのは、15分しかなかったことと、1社目で慣れていなかったことが原因です。
そして勤務地を聞かないエージェントは、いません。マイナビもちゃんと聞いてくれていました。ただ、口頭で、短い時間の中で、私がうまく答えられなかった。
ここから学んだことは、はっきりしています。
これから面談を受ける方へ
希望する勤務地と職種は、面談の最初に、自分から言ってください。
聞かれるのを待たないこと。エージェントの当たり外れの前に、こちらの伝え方で、届くものが変わります。
実際、2社目・3社目では「全国でかまわない」「工程は問わないが、いまの経験は活かしたい」と自分から言いました。届いた求人の勤務地は、北から南まで7つの都府県に広がりました。
2社が、同じことを言いました
いちばん意外だったのは、これです。
「すぐに転職するつもりはない」と伝えたとき、2社が同じ方向の言葉を返してきました。
「今のままでいいと思えれば、それが一番いいかもしれない」
「他社への転職だけが答えではありません」
エージェントは、転職させることで報酬を得る仕事です。その立場の人から、自分の商売と逆を向いた言葉が出てくるとは思っていませんでした。
しかも、示し合わせたわけでもない2社が、同じことを言っている。偶然ではないのだと思います。
「エージェントに相談したら、転職する流れになってしまうのでは」と不安な方がいるかもしれません。少なくとも私が会った人たちは、そうではありませんでした。
結局、どう使い分けるのがよさそうか
1か月やってみた結論です。優劣ではなく、向き不向きだと思っています。
| こんな人に向いていそう | |
|---|---|
| マイナビ | 自分で探したい人。まず市場を広く眺めたい段階の人。ただしメールの量は覚悟がいる |
| メイテックネクスト | 探す時間がない人。登録は3分。そのぶん面談で1時間かけて聞かれる。職種を絞りたい人に合う |
| JAC | 選択肢を広く見たい人。業種の広がりが大きい。夜遅い時間しか空かない人にも合う(22時開始まで受けられる。ただし22時台はウェブではなく電話) |
どの紹介記事にも「2〜3社を併用しましょう」と書いてあります。やってみて、その意味が分かりました。
1社だけだと「エージェントとはこういうものか」で終わります。2社目で初めて、1社目が何をしてくれていなかったかが見える。
まとめ:登録する前に知りたかったこと
1か月、3社を並走させて分かったことをまとめます。
この記事の要点
- いちばんの違いは「求人を誰が選ぶか」。2,766件を見せる会社と、9件に絞る会社がある
- 登録が軽い会社ほど、面談が長い。聞かれることの総量は、たぶん同じ
- 面談に6人出てくる会社もある。企業ごとに担当がつく体制だから
- 工程の話が通じるかは、相手が自分から何を言うかで判断する
- メールが多い=雑、ではない。数ではなく選び方の問題
- 返信が来ないこともある。でも催促すれば動く
- 勤務地と職種は、面談の最初に自分から言う。伝え方で届くものが変わる
- 2社が「転職しなくてもいい」と言った
最後に、正直な感想を書きます。
私はいま、すぐに転職するつもりはありません。それでも、この1か月は無駄ではありませんでした。
いちばん大きかったのは、自分が思っていたより、半導体に関わる会社はずっと多いと知れたことです。デバイスメーカーと製造装置メーカーしか思い浮かばなかった私のところに、材料、部材、基板、コンサルティング、外資まで届きました。業界で10年働いていても、見えていたのは一部でした。
選択肢を知らないまま「今のままでいい」と思うのと、知ったうえで「今のままでいい」と思うのは、たぶん別のことなんだろうな、と感じています。
3社それぞれの詳しい記録は、別の記事に書いています。マイナビ転職メーカーエージェント、メイテックネクスト、JACリクルートメント。この記事に書ききれなかった面談のやりとりは、そちらに全部あります。
半導体の現場が実際どんな仕事なのかは「半導体プロセスエンジニアの1日は?」、年収の実態は「半導体エンジニアの年収は本当に高い?」もあわせてどうぞ。
そして、転職先を選ぶ前に知っておきたいのが「毎日どんな場所で働くことになるのか」です。防塵服・暑さ・トイレ・在宅の可否まで、クリーンルーム勤務の実際は「半導体クリーンルーム勤務はきつい?」に書きました。

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