半導体プロセスエンジニアの1日は?現役10年が明かす仕事内容と繁忙期

半導体

半導体業界の求人を見て、「将来性はありそうだけど、実際どんな1日を過ごしているのか全然イメージできない」と感じたことはありませんか。

フォトリソグラフィ(回路パターンを基板に転写する工程)、歩留まり改善……転職エージェントのコラムを読んでも、専門用語の説明で終わってしまう。肝心の「時間の使い方」や「家庭との両立」までは書かれていないことが多いです。

こんな方に読んでいただきたい
  • 半導体業界に興味はあるけれど、働く姿がイメージできない方
  • 1日の時間の使い方や、家庭との両立を知りたい方
  • 異業種から半導体への転職を考えている方

先に、私の結論を書いておきます。

この仕事に「平均的な1日」はありません。クリーンルームに入る日と入らない日で、まったく別の仕事になります。これが現場歴約10年の、正直な実感です。

この記事では、1日・1年の流れから、家庭との両立、異業種から来た人が感じるギャップまでをご紹介します。読み終える頃には、この仕事に自分を重ねて想像できるようになっているはずです。ぜひ最後までご覧ください。

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やす

半導体業界のプロセスエンジニアとして、経験10年以上。1児の父親としても日々奮闘中。サッカーと写真が好き。平日・休日の夜に、ちまちまとブログで情報発信中。

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この記事でわかること

  • プロセスエンジニアの1日の時間の使い方(クリーンルーム作業とデスクワークの体感比率)
  • 繁忙期・閑散期でどれくらい忙しさが変わるか
  • 家庭との両立は実際どうなのか(休みの取りやすさ)
  • 異業種の経験がどこまで活きるか、ギャップを埋めるために大事なこと
  • 向いている人・向いていない人の傾向

結論:知っておいてほしいことは3つです

先に、この記事の答えをまとめておきます。

  • 1日の「型」はない。クリーンルームに入る日と入らない日で、まったく別の仕事になる
  • 忙しさには波がある。繁忙期は夜9時まで、落ち着けば残業30分〜1時間
  • 家庭との両立は回せる。ただし、やりにくさを感じる時期もある

最後の「やりにくさ」というところ。ここは正直に書いておきたいので、後半でしっかり触れます。では、ひとつずつ見ていきます。

プロセスエンジニアとは何をする仕事か

半導体の製造工程は、大きく2つに分かれます。「前工程」(シリコンの板=ウェハーの上に、電子回路を作り込んでいく工程)と、「後工程」(できあがったチップを切り出して製品に仕上げる工程)です。

プロセスエンジニアは主にこの前工程を担当します。各工程の条件を最適化したり、不良を減らして製品の歩留まり(できのいい製品の割合)を上げたり、新しいプロセスを導入したりする仕事です。

教科書的な説明はこれくらいにして、ここからは実際の1日・1年がどんな感じなのか、体験ベースでお話しします。

ある1日のタイムスケジュール

本音を言うと、「1日の型」というものはほとんどありません。

フレックスタイム制なので出社は10時までで、実際は9時半ごろに着くことが多いです。朝はまずメールチェックに30分、その日やることを整理するのに30分。

ここまでは毎日同じですが、そこから先はクリーンルーム(半導体を製造するための、ちりやほこりを極限まで減らした作業空間)での作業がある日とない日で、まったく違う1日になります。

  クリーンルームに入る日 入らない日
午前 軽く打ち合わせ→入室 資料の方向性を上司に確認
午後 長い日は夕方6時ごろまでこもりきり ひたすら資料作成・データ分析
終業前 データ整理・報告・翌日の段取り 進捗報告

クリーンルームでの作業がある日は、必要なメンバーと軽く打ち合わせをしてから入室します。長い日だと、昼過ぎから夕方6時ごろまでこもりきりということも。作業を終えたら、データの整理、メールの返信、その日の報告、翌日のアクション決めまでを一気に片付けます。

「ミーティング」といっても、会議室にこもって形式張ってやるわけではありません。朝や作業後に自席で同僚や上司と立ち話をしながら次の作戦を練る、というのが実際のところです。

逆に、クリーンルームでの作業がない日は、ほぼ一日中デスクワークです。数日後にお客様へ報告する資料をまとめたり、集めたデータとにらめっこしたり。朝から晩までパソコンと向き合う日も珍しくありません。

資料の方向性が見えてきたら、まず上司に「この方針で合っていますか」と確認し、そこから本番の資料作成、進捗報告と進めていきます。最初から完成形を見せるのではなく、こまめに認識合わせをしながら進めたほうが、結局は手戻りが少ない。これは10年やってきて実感している、ちょっとしたコツです。

会議自体はそれほど多くありません。メールや電話で済むことも多いです。

ただ、自分の判断だけでは決められない難しいテーマ、たとえば技術的なトラブル対応などは、他の専門分野を担当するメンバーを巻き込んで話し合うことになります。「現象としてはこうで、こう予想している。そちらの領域から見るとどうですか」というように、それぞれの専門知識を持ち寄ってすり合わせていくイメージです。

いつクリーンルームに入り、いつデスクワークに充てるかは、装置を使えるタイミングや、その日の自分の体調も見ながらその都度調整しています。だから「平均的な1日」を聞かれると、答えに困ってしまうのが正直なところです。

それでもあえてざっくりとした目安を挙げるなら、経験年数によってかなり変わります。

クリーンルーム作業が占める割合(体感)

  • 若手のころ ほぼ9〜10割
  • 10年以上たった今 少ない週では1割程度
  • ただし「自分にしかできないこと」がある時期 4〜5割に戻る

後輩や部下に任せられる分、割合は減ります。それでも「自分の目で確認しておきたいこと」が発生する時期は、また現場に戻る、という感覚です。

年間の流れ:繁忙期と落ち着く時期の差

一番忙しかったのは、重要な案件でお客様への進捗報告が毎週必要だった時期です。この状態がおよそ1年ほど続きました。

毎朝、上長や上位のメンバーも交えた進捗確認の場があり、前日までに状況と次のアクションをまとめておく必要がありました。資料をつくり、データを見やすく整理し、レビューを受け……という毎日です。

朝9時に出社して夜9時まで働くのが当たり前、報告前日は夜10時までパソコンと向き合うこともありました。土日も気が休まらず、日曜の夜から「月曜の朝、何を報告しよう」と考えてしまう。そんな時期でした。

やりがいは感じていましたが、正直、この働き方がずっとは続かないなとも思っていました。

もうひとつ忙しかったのが、特定のプロジェクトのために出張して、現場に張り付いて集中対応が必要になる時期です。チームで動くことが多く、人数は少ないときで数名、大きなプロジェクトだと10名前後になることもあります。

現場のとりまとめ役を任されたときは特に大変でした。翌朝話す内容を前の晩のうちに固めておく必要があり、定時で終わることはまずありません。仕事が終わって宿泊先に戻ってからも、翌日の準備が続きます。

長くても2ヶ月ほどでしたが、リーダーとしての責任感と「現場で起きたことは自分で何とかしなければ」というプレッシャーで、自分で自分を追い込んでいたなと今振り返ると思います。

一方で、そういう繁忙期が一段落したあとは、達成感と少しの脱力感がある落ち着いた時期がやってきます。

  やること 残業
繁忙期 毎週の進捗報告、出張での集中対応 夜9〜10時まで
落ち着く時期 データの振り返り、次への備え 30分〜1時間

この時期は、忙しかった時期のデータを振り返って整理し、次の繁忙期に備えてストックしておく時間に充てることが多いです。残業も30分から1時間程度で、定時に近い働き方に戻ります。この時期に「仕事を辞めたい」と思ったことはありません。

忙しい時期と落ち着いた時期の差は、正直かなり大きいです。ただ、ずっと繁忙期が続くわけではなく、波があるからこそ乗り越えられる、という感覚があります。

家庭との両立の実感

子供が生まれてから、働き方は結婚したとき以上に変わったと感じています。

フレックスタイム制で朝の出社時間をある程度自由に調整できることは、両立には大きく効いています。我が家では朝の送りを担当していますが、子供の準備には大人のような一定リズムがなく、ばらつきが大きいものです。多少出社が遅くなっても対応できる柔軟さがあることは、正直かなり助かっています。

一方で、子供の急な発熱や行事で休みを取ることが増えました。家庭内でとっさに対応が必要になり、仕事を切り上げて帰らざるを得ない場面も何度かありました(最近はだいぶ落ち着きましたが)。

そういうときは、進めていた仕事にひとまず区切りをつけ、状況を説明したうえで帰宅し、収拾がついたら在宅勤務で作業を再開する、という形で乗り切ってきました。「ちゃんとした理由と説明さえできれば理解してもらえる」という空気が職場にあることは、率直にありがたいと感じています。

これまで一緒に働いてきた人たちを振り返っても、いわゆる職場トラブルのようなものはあまり聞きません。変化の速い業界だからか、柔軟に対応してくれる人が多い印象です。この「理解してもらえる」という安心感が、「ここにいていいんだ」という気持ちにもつながっています。

一方で、大変さがないわけではありません。

この仕事は現場やお客様先に出てこそ成り立つ部分が大きいので、フルにコミットできない時期は、正直やりにくさを感じます。子供が小さいうちは特にそう感じる場面が多いのですが、これは半導体業界に限った話ではなく、どの家庭にも起こりうることだとも思います。

今後は子供のことだけでなく、親の介護なども含めて、仕事とプライベートのバランス調整は年齢を重ねるごとに増えていくのだろうと感じています。

異業種から来た人のギャップ

まず安心してほしいのは、前職で培った経験は、思っている以上にそのまま活きるということです。

とくに生産技術・品質管理・設備保全のような経験は、活かせる場面が多いです。統計的な数字の扱いや、実験・評価を重ねてデータをまとめ、説得力のある数字で表現する力も、根幹の知識・技術としてそのまま通用します。

その上で、異業種からのギャップについては、実はそんなに多くを語ることはありません。結局のところ、報連相(報告・連絡・相談)さえできていれば、職場の流れには自然と慣れていきますし、自分の考えも周りに伝えられます。ギャップを埋める鍵は、突き詰めればそこに尽きると思っています。

まとめ:この仕事に向いている人・向いていない人

最後に、向いている人・向いていない人について、正直なところをお伝えします(この話は別記事「半導体業界への転職、後悔する人・しない人の分かれ道」でも詳しく書いているので、ここでは要点だけ)。

話すことが好き、あるいは自分の考えを相手にわかりやすく伝えるのが得意な人は、この仕事でもうまくやっている印象があります。

それから、「根拠のない自信」を持っている人も向いています。プロセスエンジニアの仕事は一人では完結せず、他の専門分野を担当するメンバーを巻き込みながら進める場面が多いからです。自信を持って周りを巻き込める人は、それだけで強みになります。

とはいえ、巻き込む力がある人だけが活躍しているわけではありません。黙々と一人で作業に打ち込むタイプの人も、ちゃんと必要とされていて、実際に色々なタイプの人が活躍しています。

共通して言えるのは、考え抜く力がある人は伸びていく、ということです。逆に、途中で違和感を覚えても、それをそのままスルーしてしまうような人は、うまくいかないことが多い印象です。

向いている人・向いていない人

  • 話すのが好き・得意な人、自分の考えを伝えるのが得意な人
  • 「根拠のない自信」を持って周りを巻き込める人
  • 黙々と考え抜く力がある人
  • 向いていないのは、違和感があってもそれをスルーしてしまう人

1日の流れも、1年の忙しさの波も、家庭との両立も、決してきれいごとだけでは済まない仕事です。

それでも、教科書には書かれていない生活実感まで含めて、自分の生活に置き換えて想像できるところまで、一緒に見てきました。あとは、応募するかどうかは、あなた自身の判断で決めてもらえたらと思います。

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